鋼の錬金術師テキストブログ。所謂「女性向け」という言葉をご存じない方、嫌悪感を持たれる方はご遠慮ください。現状ほぼ休止中。
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だから戦え、と目の前の弟子は言った。
その黒い双眸は、自分と戦うことが本当に楽しみなのだときらきらしていて、タチが悪い、とディーノは思う。まるで会えるのを心待ちにしていたような瞳だ。
今にも襲い掛かってきそうなスーツ姿の雲雀に向かってなんとか説得を試みるために会話を続けた。
「ああ、うん。確かにチープじゃねえよな今戦うのは」
ボンゴレの正式な守護者と、キャバッローネのボス。あの頃のように簡単に修行ができるわけではない。
加えて、現在その二つの組織は緊張状態にある。
綱吉もディーノも本意ではないのだが、どちらのボスも世の中ままならないことばかりだと知っているので、そんな状況になったときも、ごくごく小さく溜め息を落としただけで次の対策を検討しはじめた。
今も二人でできるだけ穏便に片付けようとしている真っ最中だ。
そんな中でボンゴレの守護者とキャバッローネのボスが戦うなど、ボンゴレ、あるいはそのボスの失墜を狙っている人間がそれを見逃すはずがない。悪い方向に転がり落ちるのは見えている。うん、スリル満点だ。
だが、雲雀はディーノの言葉に不思議そうな視線をよこす。
「今?」
「え、だからほら、俺んとことツナんとこで……」
「知らない。僕には関係ないよ」
「…………」
そうでした。この弟子は周囲の状況なんて考えずに好きなことをするこでした。
「最近の相手は骨がなくてね。退屈だったんだ」
――だから、やろうよ。
言うが早いか距離を詰めてトンファーを繰り出してきた。
「ちょっ、待て待て恭弥!!」
「待たない」
顔の横を通り過ぎる武器に冷や汗をかく。当たり前だが――本気だ。
思わず腰の武器に手をやったが、鞭を出すと本格的に戦闘になると思いとどまり、なんとか避けながら声を上げる。
「久しぶりなんだから他にもあんだろ!」
「ないよ」
しゃべっている間も攻撃の手は休むことがない。
ディーノとしては久しぶりに会ったのだからゆっくり話でもしたいところなのに、この可愛い弟子は制服がスーツへと変わっても、師匠の話を聞こうともしない。
いや、そもそも師匠って認識されてんのかなあ俺。……あ、なんかヘコんできた。
だんだん表情が暗くなってくるディーノに、雲雀は訝しそうな目を向け、一旦攻撃を止める。
距離をとって立つディーノを不機嫌な瞳で睨みつけてきた。
「何してるの。さっさと戦いなよ」
「だから、今はマズいんだって」
「あなたの都合なんてどうでもいい。……あなたと戦うのは、スリルがある」
とてもね、と獰猛な瞳で笑む姿に僅かに見惚れるも、ディーノは頭を振ってそれを振り切る。
ディーノとて、普段であればなんだかんだ言いつつも戦うに吝かではないが、今は困るのだ。
「……なあ恭弥」
隙を逃さず再び向かってくる雲雀の瞳をじっと見ながら言う。
同時に、戦う雲雀は綺麗だ、と思った。
「チープなスリルは遠慮したいんだろ」
「だから、さっきから、そう、言ってる……!」
まったく攻撃が当たらないことにイラつきはじめた雲雀から飛んできたトンファーを避けて、右腕を掴む。即座に飛んできたもう片方もギリギリのところで受け流してするりと足払いをかける。
バランスを崩したところで腕を回して引き寄せた。
「っ!?」
「だったらさ、恭弥」
予想外の相手の行動にその黒い瞳を見開いた雲雀を、互いの吐息がかかるくらいの距離から見つめ、ディーノはやっぱりタチが悪いと思いながら、その耳元へ低く囁きを落とした。
「戦う以外のスリル、味わってみねえ?」
いらない、とディーノを殴って気絶させた雲雀の耳が赤くなっていたことは、実は傍にいたボスの側近だけしか知らないことである。
ヘタレディノさんとツンデレなヒバリが好きです。書けてないけど。
お互いにお互いの顔が好みだといいと思う。
ていうか別に未来じゃなくてよかったんじゃ(略
タイトルはbe in love with flowerさまの選択式お題より。
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