鋼の錬金術師テキストブログ。所謂「女性向け」という言葉をご存じない方、嫌悪感を持たれる方はご遠慮ください。現状ほぼ休止中。
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「ハボック」
夕食後の洗い物を終えたところで、大佐がきらきらした目で寄ってきた。
この人がこんな目をするときは、たいてい俺がひどい目に会う。
いや、本人に俺をひどい目にあわせようとする意思があるわけではないが(たまにそういう時もあるがそれはもう諦めている)(所詮俺はこの人には勝てないのだ)、こういう、うきうききらきらした目で何かをするときはたとえそれが俺に関係ないことでも、なぜか最終的に俺が被害を被ることになる。
……たぶん、そのきらきらは錬金術師の知的好奇心から来ているんだろう。鋼の大将もたまにこんな目をする。
俺と大佐の貴重な時間を奪う錬金術。仕事はともかく、プライベートでは厄介この上ないシロモノだ。
「……なんスか?」
そして身体は正直なもので、きらきらな大佐に俺はすでにちょっと逃げ腰。
だけどまあ、こうなったこの人はそんなこと、これっぽっちも気にしてはくれないわけで。
「頼みがあるんだ」
「…………あんたがお願い事なんて気味が悪いですね」
「どういう意味だ」
「あーはいはい。で、頼みごとってなんなんですか?」
「これをつけてくれ」
「――はい?」
ずい、と差し出されたのは。
「……眼鏡?」
「うん」
「……コスプレ?あんたそんな趣味あったんスか?だったらもっと早く言ってくれれば――いってえ!!」
全部言う前に殴られた。
「何スかいったい!!」
「おまえが変なことを言うからだ。燃やされないだけありがたく思え」
「ひでえ!」
大佐は少し赤い顔のまま、いいか、と真面目ったらしく講釈を垂れ始める。
そういう顔がもう俺にはダメだとこの人は分かっているんだろうか。……分かってないんだろうな。
「いいから聞け。この前中尉がな、変装するのに使ってたんだ」
「眼鏡を?」
「眼鏡を」
「そりゃあまた……どうでした?」
「似合ってた。こわいくらい」
「なんか、迫力が増してそうですね。それで?」
「だからおまえもかけてみろ」
「……すいません、それでなんで「だから」になるんスかね?」
やっぱりコスプレじゃねえか。
賢明にも口にはせずにいると、大佐は眼鏡を手にしたまま不服そうな顔をした。
「何か言いたそうだな、少尉?」
「いいえ、何もありません、サー」
「じゃあかけろ」
「まあ別に、眼鏡かけるくらいなら……」
渋々と、本当に渋々と眼鏡を受け取る。
黒縁、細いフレームの眼鏡は度も入っていない伊達のようで、どこから入手したんだろうか。
一瞬同僚の曹長のものかとも考えたが、レンズの大きさが違う気もする。
少し俯いて眼鏡の蔓を両耳へとかける。うまくおさまったところで顔を上げ、じっとこちらに注目していた大佐へ目を向けた。
「はい、これでいいっスか」
「………………」
「……大佐?」
そりゃこんな肉体派の俺に知的アイテムの眼鏡なんて似合うはずもない。
ブレダに似合うかといったらそれはそれでギモンだが、それはまあおいといてだ。
……知性派の眼鏡でなんかちらっとどこぞの親ばかが過ぎったけれど、それもまあおいといてだ。
実際にこうもリアクションがないとちょっとツライわけで。
声をかけると、ぼけっとしていた大佐がはっとしたようにぶんぶんと首を振る。
「い…いや。そんなことはないぞ」
「無理しなくていいですよ、俺も似合わないって思うし」
「そうじゃない……そうしていたら、少しは頭がよさそうに見えるから」
「――へいへい。どーせ俺は見た目も中身も頭悪いっスよ」
「褒めているのにどうしておまえは素直に受け取れんのだ」
「え、ほめてたんスか?」
「……もういい。おまえ、今度から家にいるときはたまに眼鏡かけてろ」
「はあ?」
「いいか、たまにだぞ。毎日だと飽きるからな」
そうして満足げに笑って、こちらを見た。
あ、ちょっとその流し目色っぽい。
……あー…うん。
こういうのも、いいかもしれない。
眼鏡さんありがとう、とココロの中で拝んでおく。
「あの、大佐。これ――外してもいいですか?」
「なぜだ?せっかく似合ってるのに。うん、私の見立てもなかなかだ」
さらっと似合ってると言ってくれているのに気づいてない。
それよりコレ、買ってきたのか、わざわざ。
それはそれで嬉しい、なんて思ってしまうのは、店でどれにするか悩んでいる大佐が容易に想像できてしまったからで。
距離を縮めて、目を丸くしている大佐を――ロイを、上から覗き込む。
「ハボック?」
「ね、大佐」
だってほら。
「外していいですか?」
「…………今だけな」
眼鏡なんてしてたら、あんたにキスもできやしない。
眼鏡はジャスティス(ぐっ(握りこぶし
眼鏡ロイさんもいいけど眼鏡ハボってのもいいんじゃないかなあという妄想の産物
もちろん眼鏡ロイさんも大好物であります 眼鏡様だいすき
大佐を爆笑させようか見惚れさせようか最後まで悩んだのは秘密です
夕食後の洗い物を終えたところで、大佐がきらきらした目で寄ってきた。
この人がこんな目をするときは、たいてい俺がひどい目に会う。
いや、本人に俺をひどい目にあわせようとする意思があるわけではないが(たまにそういう時もあるがそれはもう諦めている)(所詮俺はこの人には勝てないのだ)、こういう、うきうききらきらした目で何かをするときはたとえそれが俺に関係ないことでも、なぜか最終的に俺が被害を被ることになる。
……たぶん、そのきらきらは錬金術師の知的好奇心から来ているんだろう。鋼の大将もたまにこんな目をする。
俺と大佐の貴重な時間を奪う錬金術。仕事はともかく、プライベートでは厄介この上ないシロモノだ。
「……なんスか?」
そして身体は正直なもので、きらきらな大佐に俺はすでにちょっと逃げ腰。
だけどまあ、こうなったこの人はそんなこと、これっぽっちも気にしてはくれないわけで。
「頼みがあるんだ」
「…………あんたがお願い事なんて気味が悪いですね」
「どういう意味だ」
「あーはいはい。で、頼みごとってなんなんですか?」
「これをつけてくれ」
「――はい?」
ずい、と差し出されたのは。
「……眼鏡?」
「うん」
「……コスプレ?あんたそんな趣味あったんスか?だったらもっと早く言ってくれれば――いってえ!!」
全部言う前に殴られた。
「何スかいったい!!」
「おまえが変なことを言うからだ。燃やされないだけありがたく思え」
「ひでえ!」
大佐は少し赤い顔のまま、いいか、と真面目ったらしく講釈を垂れ始める。
そういう顔がもう俺にはダメだとこの人は分かっているんだろうか。……分かってないんだろうな。
「いいから聞け。この前中尉がな、変装するのに使ってたんだ」
「眼鏡を?」
「眼鏡を」
「そりゃあまた……どうでした?」
「似合ってた。こわいくらい」
「なんか、迫力が増してそうですね。それで?」
「だからおまえもかけてみろ」
「……すいません、それでなんで「だから」になるんスかね?」
やっぱりコスプレじゃねえか。
賢明にも口にはせずにいると、大佐は眼鏡を手にしたまま不服そうな顔をした。
「何か言いたそうだな、少尉?」
「いいえ、何もありません、サー」
「じゃあかけろ」
「まあ別に、眼鏡かけるくらいなら……」
渋々と、本当に渋々と眼鏡を受け取る。
黒縁、細いフレームの眼鏡は度も入っていない伊達のようで、どこから入手したんだろうか。
一瞬同僚の曹長のものかとも考えたが、レンズの大きさが違う気もする。
少し俯いて眼鏡の蔓を両耳へとかける。うまくおさまったところで顔を上げ、じっとこちらに注目していた大佐へ目を向けた。
「はい、これでいいっスか」
「………………」
「……大佐?」
そりゃこんな肉体派の俺に知的アイテムの眼鏡なんて似合うはずもない。
ブレダに似合うかといったらそれはそれでギモンだが、それはまあおいといてだ。
……知性派の眼鏡でなんかちらっとどこぞの親ばかが過ぎったけれど、それもまあおいといてだ。
実際にこうもリアクションがないとちょっとツライわけで。
声をかけると、ぼけっとしていた大佐がはっとしたようにぶんぶんと首を振る。
「い…いや。そんなことはないぞ」
「無理しなくていいですよ、俺も似合わないって思うし」
「そうじゃない……そうしていたら、少しは頭がよさそうに見えるから」
「――へいへい。どーせ俺は見た目も中身も頭悪いっスよ」
「褒めているのにどうしておまえは素直に受け取れんのだ」
「え、ほめてたんスか?」
「……もういい。おまえ、今度から家にいるときはたまに眼鏡かけてろ」
「はあ?」
「いいか、たまにだぞ。毎日だと飽きるからな」
そうして満足げに笑って、こちらを見た。
あ、ちょっとその流し目色っぽい。
……あー…うん。
こういうのも、いいかもしれない。
眼鏡さんありがとう、とココロの中で拝んでおく。
「あの、大佐。これ――外してもいいですか?」
「なぜだ?せっかく似合ってるのに。うん、私の見立てもなかなかだ」
さらっと似合ってると言ってくれているのに気づいてない。
それよりコレ、買ってきたのか、わざわざ。
それはそれで嬉しい、なんて思ってしまうのは、店でどれにするか悩んでいる大佐が容易に想像できてしまったからで。
距離を縮めて、目を丸くしている大佐を――ロイを、上から覗き込む。
「ハボック?」
「ね、大佐」
だってほら。
「外していいですか?」
「…………今だけな」
眼鏡なんてしてたら、あんたにキスもできやしない。
眼鏡はジャスティス(ぐっ(握りこぶし
眼鏡ロイさんもいいけど眼鏡ハボってのもいいんじゃないかなあという妄想の産物
もちろん眼鏡ロイさんも大好物であります 眼鏡様だいすき
大佐を爆笑させようか見惚れさせようか最後まで悩んだのは秘密です
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