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鋼の錬金術師テキストブログ。所謂「女性向け」という言葉をご存じない方、嫌悪感を持たれる方はご遠慮ください。現状ほぼ休止中。
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唯一の動力源であったゼンマイ部分を損傷したことを告げられたハボックは、ちょっと困ったような顔をしたがそれだけで、告げたロイの方が泣きそうに――実際にそうなることはないが――なった。
無言でその身体にしがみつく。
広い胸に額をこすりつけると、聞こえるはずのない心臓の音さえ聞こえそうでぐりぐりと押し付けた。

「大佐?」

黙ったままそうしていると、頭の上で苦笑をひとつ落とされ、大きな手で優しく頭を撫でられる。
この手が止まってしまうなど――考えたくもない。
ロイはなんとか今の状況の打開策を見つけようと、必死に頭をフル回転させる。
だが、いつもなら次々と考えがわいてくる頭は、こんなときに限ってまったく役に立たない。

「――私の部品で、」
「ダメっすよ。俺旧式ですから、あんたの部品はあいません」

俺の型はどこも製造してませんからね。そういうの、あんたの方が詳しいでしょう?
一度壊れたら直ることはないという事実を、ロイを抱きしめながらあっさりと言う男に苛立ちすら覚えた。

「……何故」
「大佐」
「何故庇った?私ならいくら壊れても替えがある、直せる。おまえみたいにっ……!」

言葉に詰まって振り仰いだ先には、凪いだ海のような、嵐の後の青空のような、静かな瞳があって息を止める。

「あんたは?」
「え?」
「あんたが俺だったら、どうしました?」

それはずるい、と思う。
そんなわかりきってること、今聞くなんてこの男はずるい。
頭を撫でる手を止めることなく答えを待つ青い瞳に、ぽつりと零す。

「…………庇う」
「でしょ」

こんな状況なのに。
へへ、とただでさえ垂れた目じりをさらに下げて嬉しそうに笑うのはどうしてだろう。

「あの一瞬で、あんたの方が最新式で、とか、俺が旧式だから、とか。そんなこと考えませんよ」

俺もあんたもロボットだけど、と呟いて、

「大事な人を守んのに、理由なんていらないでしょう?」

もうすぐ止まるゼンマイ仕掛けのマシノイドは、腕の中の“大事な人”をきつく抱きしめて、あんたが無事でよかった、と心から言うから。
ロイは何も言えなくなるのだ。




微妙に暗いけどあれだよ、このあと研究者のエルリック兄弟が来て直してくれたりするんだよ。
あとマシノイドは機械人間です。ご存知の方はにやりとしてください。
タイトルはbe in love with flowerさまの選択式お題より。
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管理人 柚 (雑記)

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