鋼の錬金術師テキストブログ。所謂「女性向け」という言葉をご存じない方、嫌悪感を持たれる方はご遠慮ください。現状ほぼ休止中。
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椅子に座らされているハボックの前に、ロイは立ち尽くしていた。
俯いているため、その表情は読めない。
だからなのか、ハボックはことさら明るい口調で自分の主人に言った。
「ちゃんとエナジィ補給してくださいよ。俺、三日間は動けないんすから」
「……わかってる」
「洗濯は置いておいてくれれば俺が動けるようになってからしますんで」
「ああ」
「あ、そうだ、冷蔵庫に牛乳入ってますから間違えて飲んじゃダメっすよ――って大佐、聞いてます?」
「っ!わかったと言ってる!おまえは私を信じてないのか!?」
「この件に関しちゃ前科ありまくりのあんたの言葉は信用できません。ほっとくとすーぐ研究に没頭して自分のこと忘れるでしょうが。心配で仕方ないって、あんた、分かってます?」
「…………」
「大佐?」
「…………」
「たーいーさー?」
「うるさい!ちゃんと聞いてる!」
ロイの顔を覗き込もうとするハボックは、嫌がるロイによって阻止され苦笑する。だが、その耳が赤いのに気づくと、思わずというように手を伸ばした。
「何をする!離せ!!」
「だめっす。あんた可愛すぎ」
「なっ……おまえ、前と性格変わってないか!?」
「へ?そうですか?」
前よりも言葉と態度に現れている己を理解していないらしい大型犬は、主人の頭をぎゅーっと抱えて離さない。
「アンタら、いい加減黙ってくれねえと調整できないんだけどー?あと少尉は動くな」
「ちぇ」
呆れを隠そうともしないエドワードの言葉に、ハボックは残念そうに手を離す。
慌てて離れるロイはエドワードの存在をすっかり忘れていたらしい。
「おまえ、この前まで死にそうだったのになんなんだ!?」
「大佐のおかげです」
「俺だろ、俺」
「もちろん、大将たちがいなかったら俺はここにはいないんで。感謝してるぜ?」
直らないと思われたハボックの体を直した幼い兄弟たちに改めて礼を告げてハボックが前を向くと、ロイの真剣な黒い瞳と目があって硬直する。
「ハボック。ひとつ、約束しろ」
「……なんですか?」
まっすぐ刺すように見つめる視線は、逸らすことを許さない。
固まったままのハボックは次の言葉に目を見張った。
「――私の許可なしに、死ぬことなど許さん。いいな?」
「たい……」
「返事は」
「いや、つうかそれ」
「返事は!」
「Yes,sir!」
勢いに負けてそう返す青年に、ロイはようやく満足そうにふわりと笑った。
「おまえの命は私のものなのだろう。違ったか?」
「……いいえ、違いません」
「おまえは死なないんだろう?」
「……ええ。死にませんよ」
どこか複雑そうに答えるハボックの頬は少し赤い。
「…………もう俺帰ってもいいかな、アル」
「ダメだよ兄さん、大事なお客さんなんだから」
再び存在を忘れられていた兄弟たちの会話に、はたと我に返ってハボックは頭を抱える。
「すんません大将。ああもう何言ってんだ俺……」
なにやら懊悩する青年に、ロイはすっと目を細めた。
「まさかおまえあの時の言葉は――」
「本音に決まってます!あんた何言いだすんスか!」
「…………」
「…………」
今度は二人とも赤くなって黙り込む姿に、優秀な研究者として名高いエルリック兄弟の兄は犬も喰わねえ、と小さく呟いた。
このお話で一言しか出番のないアルは守銭奴という裏設定があります。(笑)
タイトルはbe in love with flowerさまの選択式お題より。
俯いているため、その表情は読めない。
だからなのか、ハボックはことさら明るい口調で自分の主人に言った。
「ちゃんとエナジィ補給してくださいよ。俺、三日間は動けないんすから」
「……わかってる」
「洗濯は置いておいてくれれば俺が動けるようになってからしますんで」
「ああ」
「あ、そうだ、冷蔵庫に牛乳入ってますから間違えて飲んじゃダメっすよ――って大佐、聞いてます?」
「っ!わかったと言ってる!おまえは私を信じてないのか!?」
「この件に関しちゃ前科ありまくりのあんたの言葉は信用できません。ほっとくとすーぐ研究に没頭して自分のこと忘れるでしょうが。心配で仕方ないって、あんた、分かってます?」
「…………」
「大佐?」
「…………」
「たーいーさー?」
「うるさい!ちゃんと聞いてる!」
ロイの顔を覗き込もうとするハボックは、嫌がるロイによって阻止され苦笑する。だが、その耳が赤いのに気づくと、思わずというように手を伸ばした。
「何をする!離せ!!」
「だめっす。あんた可愛すぎ」
「なっ……おまえ、前と性格変わってないか!?」
「へ?そうですか?」
前よりも言葉と態度に現れている己を理解していないらしい大型犬は、主人の頭をぎゅーっと抱えて離さない。
「アンタら、いい加減黙ってくれねえと調整できないんだけどー?あと少尉は動くな」
「ちぇ」
呆れを隠そうともしないエドワードの言葉に、ハボックは残念そうに手を離す。
慌てて離れるロイはエドワードの存在をすっかり忘れていたらしい。
「おまえ、この前まで死にそうだったのになんなんだ!?」
「大佐のおかげです」
「俺だろ、俺」
「もちろん、大将たちがいなかったら俺はここにはいないんで。感謝してるぜ?」
直らないと思われたハボックの体を直した幼い兄弟たちに改めて礼を告げてハボックが前を向くと、ロイの真剣な黒い瞳と目があって硬直する。
「ハボック。ひとつ、約束しろ」
「……なんですか?」
まっすぐ刺すように見つめる視線は、逸らすことを許さない。
固まったままのハボックは次の言葉に目を見張った。
「――私の許可なしに、死ぬことなど許さん。いいな?」
「たい……」
「返事は」
「いや、つうかそれ」
「返事は!」
「Yes,sir!」
勢いに負けてそう返す青年に、ロイはようやく満足そうにふわりと笑った。
「おまえの命は私のものなのだろう。違ったか?」
「……いいえ、違いません」
「おまえは死なないんだろう?」
「……ええ。死にませんよ」
どこか複雑そうに答えるハボックの頬は少し赤い。
「…………もう俺帰ってもいいかな、アル」
「ダメだよ兄さん、大事なお客さんなんだから」
再び存在を忘れられていた兄弟たちの会話に、はたと我に返ってハボックは頭を抱える。
「すんません大将。ああもう何言ってんだ俺……」
なにやら懊悩する青年に、ロイはすっと目を細めた。
「まさかおまえあの時の言葉は――」
「本音に決まってます!あんた何言いだすんスか!」
「…………」
「…………」
今度は二人とも赤くなって黙り込む姿に、優秀な研究者として名高いエルリック兄弟の兄は犬も喰わねえ、と小さく呟いた。
このお話で一言しか出番のないアルは守銭奴という裏設定があります。(笑)
タイトルはbe in love with flowerさまの選択式お題より。
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